京都市東山に佇む明治28年竣工の趣のある建物、京都国立博物館にて大切に保管されておりました古い備品の椅子を修復いたしました。
写真でもご覧いただけます様に、昭和30年にあらためて備品の登録がされておりますが、その下にもう一枚古い物が貼られておりますので、制作年代はより以前に遡ると推測されます。
御預かりしました時には、中のスプリングや麻のベルト、生地やブレードなど経年による破れなどがありましたので、座面内を交換した後、生地張替え及び組み直しを施しました。
背に張られた生地の周りに廻されたブレード(糸を細長く織ったもの)は、当時の色味と織り方を再現したものを、染織作家さんに織っていただきました。
メンテナンス内容といたしましては普段扱います椅子達と変わらない作業ですが、新しい試みなど学ぶことも多いお仕事でした。
今後、来館されます皆様にお座りいただける場所でお使いいただけるとのことですので、是非お試しになってください。
京都国立博物館