#117『アイザック』

2024-12-08

本日、納入事例でUPしたステンドグラスです。

ビクトリア時代にイギリスで制作されたモノですが、魚釣りを愉しんだり、虫を追いかけたりする鳥たちが描かれています。
物語の挿絵のような、ストリー性を感じる作品です。
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先ず木枠から外して
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次に配置を決めて
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ドアが届くと、ステンドグラスを入れて
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建物に設置されたら完了です♪
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透過する光で、その見え方は全く異なります。
モチーフ的に、朝日で観ると意気揚々と大物を狙う風景、一方、夕日で観ると最後の大物を粘り強く待っているようにも見えますし、一日楽しんでそろそろお家に帰ろうとしているようにも見えますね。
​鳥さんたちの釣果はどうだったんでしょうね。

そんな鳥さんたちの気持ちを理解するため、昼間はまだ暑いぐらいだったとある定休日、職人一同弟子たちを連れて琵琶湖まで釣りに行ってきました。
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鳥の気持ちはわかりませんでしたが、猫の気持ちはわかりました(笑)

(ちなみに、琵琶湖では県の条例により、ブラックバスやブルーギルのリリースは禁止されています。
また、地域猫?への勝手な餌やりも是非が問われるところですので、ルールを守って楽しみましょう。念のため)

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話を戻しまして。

一見『さるかに合戦』のシーンにも見えなくもない1枚。
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買付け時に何となく気にはなっていたのですが、ぶらさがるお猿さんの真下にいる鳥さんが本を持っていて、その表紙には文字が書かれていました。

肉眼で認識できたのは“ISAC”でした。
おそらく“ISAAC”を意味します。
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若干強引ですが、この木がセイヨウリンゴを描いたものだとして、アイザック、リンゴと来ればニュートンですよね。
ということで、Isaac Newton(英1642-1727)の本を持つ鳥 さん。。
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と、思っていました。

でも実は、商品として店頭に並べる際、写真にも上手く写らないぐらい小さいため、あらためてルーペを用いて確認すると薄い筆痕を含め“WALTON”と読めました。

初めて聞く名前でしたので、インターネットで検索すると直ぐに出てきました。

Isaac Walton (英1593-1683)は随筆家、伝記作家で、代表作は『釣魚大全』(1653年初版)とのことです。
この『釣魚大全』には、魚の餌や生態、釣りの方法や魚の調理法などHow toだけではなく、釣りの楽しみや人生の悦びまでを説く正にタイトル通りの本のようです。
翻訳された書籍が何冊も出版されているみたいですので、我々が知らなかっただけで、ご存じの方も多いかも知れませんね。

よって、NewtonではなくWaltonの本を持って釣りをしている鳥さんと結論付けました。

実際に、この鳥さんの糸の先には大物が喰い付いていますので、次回の職人対抗釣り大会には『釣魚大全』をこっそり忍ばせて行こうと思います!
 

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