四隅に天使があしらわれ、中央には楽器を奏で絵を嗜む二人の女性像が描かれた美しいステンドグラス。
近々のお納めを控え、最後の磨きを行っていたところ、中央モチーフの右下にサインらしきものを発見しました。
とても小さいため、最初は傷か汚れぐらいに思っていたのですが、磨くにつれ数字やアルファベットに見えなくもない文字のようなものが出てきました。
実際に観察すると、グリザイユの焼成前に何かで書かれ(搔き取られ)ているようですので、制作当時からのものと推測されます。
ただし、これ以上のことは判りませんでしたm(_ _)m
続きまして、磨くといえばシルバーですよね。
現在、先日の船で到着した銀器を少しずつ磨いて、店頭へ運ぶと同時にホームページにも掲載していますが、磨き終わった商品をご覧になったお客様から「これ、ピカピカですけど本当に古いモノなの?」と尋ねられることがあります。
もちろん年代はそれぞれです。
200歳ぐらいのモノもあれば、半世紀経たないモノもあります。
下の写真は、左側が磨き終わったコ達、右側が何もしていないコ達です。
銀器はスターリングもシルバープレートも、磨く前後で一目瞭然、結果が分かり易いという点でやり甲斐のある作業のひとつと言えます。
刃物を研ぐのと同じく無心で作業ができるので、時間を忘れてやっちゃいます。
作業が楽しくなってきましたので、こちらも同時に磨きました。
と、その前に片方が外れて無くなっているリベットを作って。。
シルバーではなく真鍮ですが、これも磨けば綺麗になります。
おかげで文字も読めるようになりました。
これが何かといえば、ワインドアウトテーブルの拡張ボルトの部品です。
天板が付くと、上からはもちろん下から覗き込んでも普段は見えることがなく、テーブルを伸縮させる際にチラッとだけ見える部品です。
小さく装飾的なパーツなので一見ただの飾りみたいですが、これが無いと天板を伸縮させることが出来ない重要なパーツでもあります。
ちなみに、この拡張ボルトは1846年にバーミンガムで設立されたJoseph Fitterという、大きなネジを得意とした金属加工会社によって作られたエキスパンダーです。
1860年代には、これらのボルトを用いた家具の拡張機や可動部品において沢山の特許も取得した有名なメーカーになります。
過去にMapleやGillowのワインドアウトテーブルをメンテナンスした際も、結構な確率で同じモノが付いていましたので、当時多くの家具メーカーで採用されていたんでしょうね。
現在、本体はバラバラになっていますが、各パーツのチェック後に組み直し、全体の剥離再塗装を行います。
作業完了までもう暫くお時間をいただきますが、楽しみにお待ちくださいませm(_ _)m
バラバラといえば、下の写真はチッペンデールのダイニングチェアを分解した時のものになります。
落とし込みの座面でしたので、木枠に麻ベルト、麻布、馬毛、綿、生地の順で張られていました。
今回は、ニードルポイントの生地は残したいとのご希望でしたので、それ以外のものは新しくして張り替えました。
同時に本体も組み直しを行い、テーブルに合わせた色味で仕上げました。
そんな中、裏地を剥がした際に出てきたのですが、椅子の様式と同様Chippendaleと書かれていました。
今まで数えきれないぐらいの椅子を見てきましたが、一同このような生地を見たのは初めてです。
実際、過去に張り替えが行われた痕がありましたので、張り替え用の生地材料として流通していたのでしょうか。
いずれにしても、あらためて英国の家具職人さんたちの層の厚さを垣間見た気がします。
チッペンデールといえば、アメリカでの評価も高く今世紀に入ってから切手にもなっています。
切手といえば、先月から郵便料金が変更されましたね。
封筒1通82円だった頃に作った当店オリジナル切手、その後84円になりましたので9月までは2円切手を足して対応しておりました。
10月以降、封筒をご郵送したお客様には82+10+10+2+2+2+2と、たくさんの切手をペタペタと失礼いたしました。
どうやら26円切手があるらしいので、手持ちの10円切手が無くなり次第となりますが、82+26+2で臨みたいと思います(笑)