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#108『材料選び』

2024-02-25

クレアアンティークスでは、主に英国のアンティークスを現地ディーラーさんやオークションから買い付け、混載を避けた輸入業務やそれぞれに合わせたメンテナンス、販売までを一貫して行いたいという思いから、好みや価値観の似た職人だけで立ち上げて今に至ります。

日々の工房業務としては、買い付けた在庫やSoldになったアンティーク商品のメンテナンス、お預かりしたお品の修理や椅子の張り替え、ステンドグラスに関してはメンテナンス以外に付随する作業を含めた新規での制作などを行っています。

今回のブログは、それらの中で最近行った作業を中心に材料目線で書いてみようと思います。
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先ずはこの木を加工します。
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お伝えいただいた開口寸法に収まるように試作のパーツを作って、どうやって組むかを考えます。
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概ねの形が決まれば、本番のパーツを作って組み立てます。
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こちらは、いつもお世話になっている京都の庭師さんからのご依頼だったのですが、屋外にある石灯篭の火袋にお使いとのことで、普段は用いることがない竹釘を作って仕上げました。
石の側面に嵌まり込む形で垂直に立ち、また笠も乗るため完全な野晒しというわけではありませんが、これから朽ちるまで頑張って欲しいです。

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次は、立体的に組まれたステンドグラス照明の修理です。

実は、インドで購入され日本へ引っ越される際に一緒に持って来られたモノになります。
組み方はイギリスを含むヨーロッパの技法ではなく、ティファニーに代表される立体を組むのに適したアメリカの技法でもない面白い作りでした。
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錆の雰囲気から一般的に使われる銅や真鍮の材料とも違うように思いましたが、可動するヒンジは再度使用しないほうが良い状態でしたので新しいパーツを作って修理しました。
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割れていたガラスも全て入れ替えましたので、続きは電気屋さんにお任せして完了です。

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次はインレイ(象嵌)の抜けです。

ご参考までに、買い付けたばかりのアンティーク家具の状態としてよくあることを順位付けしてみました。
1位・『ぐらつき』※ほぼ全てのモノに大なり小なりあります
2位・『日焼けや経年による褪色』※これもほとんどのモノにあります
3位・『彫刻の欠損』※細かいところはあとから気付くこともあります
4位・『木の収縮による割れや反り、パーツの隙間など』※ぐらつきの原因のひとつでもあります
5位・『インレイの抜け』※ちょっと萎えます
(クレアアンティークス職人調べ)
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そんな英国アンティークあるある第5位ですが、できるだけ同じ素材を使って修理するようにしています。
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このあと全体も仕上り、現在店頭に並んでいます。

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次は少し前の写真になりますが、椅子の張り替えです。
本革での張り替えをご希望でしたので、先ずは椅子の座面に使える良質な革を仕入れました。

その形状をご覧になるとお判りいただけるかと思いますが、半身が2枚で牛一頭分のレザーになります。
こうやって見ると少し生々しく感じるかも知れませんが、日々の食事と同じく感謝を込めて使わせていただきました。
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実はこれだけ大きな1枚物のレザーでも個体差があり、使える部分は意外と多くありません。
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写真の通り、穴が開いていたり傷があったり、表面のシワも部位によっていろいろです。
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それらを避け、綺麗なところを選んで使用するので端から端までを使えるわけではなく、高価な材料でもあるため失敗できない作業になります。

失敗できないと言えば、ガラスカットも同じです。

こちらは、お持ちのテーブルに合わせたガラストップの制作です。
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形だけを見ると先程の半身みたいですね(笑)

さておき、革と異なりフロートガラスは部位を選びませんので、欲しい形に切る際の掴み代を数センチ足した最小サイズの板を用意します。

耳付きケヤキの一枚板が天板に使われた立派な机のため、大きさも然ることながら表皮に沿った複雑な形をしています。
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もしカットを失敗したり、どこかが少しでも欠けたりすると同じガラスをもう一枚仕入れないといけないため、加工はもちろん移動にも気を遣います。
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無事にカットが終われば、最後に糸面を磨いて完成です。

そして大きなモノがあれば、反対に小さいモノもあります。

こちらは、北欧で購入されたローズウッドのオーナメントとのことで、根本が折れてしまったため修理のご依頼をいただきました。
直径が5~6mmのたいへん細い部分ですが、よく見ると捻り千切れたようなささくれ状になっていました。
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ローズウッドが好きでお集めになっていると伺いましたので、材料としてストックしているローズウッドをいろいろ出して色味の近いものを選んで使用しました。
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パテなどは使わず、繊維ぐらい小さい欠損部分に作ったパーツを入れる作業はパズルのようで楽しかったです。
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このあと、上部に別のオーナメントが入るとのことでしたので、許可をいただいた上でステムの中心に芯材を入れて仕上げました。

最後は、現在新たに制作しているステンドグラスです。
高さ300mm、幅450mmと大きな作品ではありませんが、既存のドアに開口部を作って入れるには丁度良いサイズかと思います。
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イギリスのアンティークステンドグラスに使われているケイムの幅は、5mm、6mm、8mm、10mmのものが多く、小振りの窓でも使用されるケイムは4mmまでが一般的ですが、今回は小さい色ガラスの見える面積を最大限確保したかったので、現在手に入るケイムの中では一番細い3mmを使いました。
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元々あったモノには出来るだけ余計なことをせず、少しだけ時間を遡った姿に戻すことを心掛けています。
一方、今までに見た先人のテクニックも取り入れながら新しく作ったモノは、少し先の未来まで大切にしていただけたら良いなぁと思います。

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