『大天使ウリエル』
最初、写真で出会ったのが2019年でした。
下の写真は、2020年3月の渡英買い付けに際し、現物を確認しに行った時に撮りました。
余談ですが、当時のブログでも書いた通り、帰国すると全国の小中学校が一斉休校していました。
滞在中、イギリスでは“アジア圏で広まっている未知の感染症”という理解の方が殆どだった印象で、いつもとは違う買い付けだったことは今も鮮明に記憶しています。
実際に向こうのニュースで目にした(イタリアかスペインか忘れましたが)海外から帰国された方からイギリス国内で初めて感染が確認されたと大きく報じられたタイミングでもありました。
その後は書くまでもなく今に至るですね。
そんな中、数か月後に遥々海を越えて到着しました。
先ずは光を透過して、その無事を確認しました。
その翌年、世界的なコンテナ不足が問題になっていましたが、残りのステンドグラスたちも滞りなく到着しました。
復活のキリストが描かれたステンドグラス
Clayton & Bell工房によって制作された、多くの聖人が並ぶステンドグラス
全てが揃うと、ステンドグラス本体のメンテナンスを行いました。
いずれもコンディションの良いモノでしたので、ガラスの細かい割れ修理と半田が外れた部分の再溶接、おそらく教会に入っていた頃に立てたまま簡易的に修復された箇所の再修復がメインの作業でした。
同時にそれぞれの採寸を行い、取り付け方法やそれに伴う仕上り寸法など、設計部の方と打ち合わせを重ねました。
結果、大天使ウリエルと聖人が描かれたステンドグラスは木枠を新調し、復活のキリストが描かれた連作はオリジナルの木枠を活かすこととしました。
新しい木枠を作るにあたり、買い付け時には既に外されていた補強バーをステンドグラス本体の表面に残る痕の位置に配置し、教会に入っていた当時と同じ条件で仕上げました。
また、部材も同じ年代の教会窓から外したものを使用しました。
オリジナルのまま使用する木枠は、先ず古い塗装の剥離作業になります。
次に、欠損や外れている部分の修正を行い
最後に、建物側の規格に合わせて、四周7mmずつ足して準備完了です。
枠の色味が決定すると、予備を含め長短約80本必要な押し縁と共に一気に塗装を行いました。
ポリッシュの乾燥を待ってWaxを掛けたら、車に積んでいざ出発です。
この日は富士山が綺麗に見えて、幸先良い感じでした。
ただ、丁度道中の半分ぐらいですので、もう少しドライブは続きます。
ワープ!
ということで、現場に到着いたしました。
個人的に高いところはあまり得意ではありませんので、足場の上は富士山より高く感じました(笑)
先ずは取り付け場所の確認と荷物の積み下ろし、時間の許す限り作業を行いましたが、大天使ウリエルを設置してこの日は終了でした。
そして近くに取った宿へ着くや否や、道が冠水しました...
でも、朝方まで雷を伴って降り続いた雨も、現場に到着するタイミングで止みましたっ!
モノは濡らしたくないので、本当に良かったです。
吹き抜け全面を飾る8枚のステンドグラスも無事に取り付け、約4年にわたるプロジェクトが完了いたしました☆
竣工され足場が外れた全景のお写真をいただくことが出来ましたら、あらためて納品事例でUPしたいと思います。
ところで、↑ ここに写っている黒いバケツをどこかに忘れてきたようです。
蓋はあります(笑)
さておきまして、この度は足場を含め全面的にご協力くださいました施工会社様、設計部のご担当、事前に段取りくださった現場監督さんや当日お会いした職人の皆様には、この場を借りてあらためて御礼申し上げます。