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#095『MEMO』

2022-12-17

本日店頭展示し、Webの商品ページにUPしたヘップルホワイト様式のディスプレイキャビネットです。

実は、先日来からがんばって磨いているシルバーアイテムの置き場所が少なくなり、他のアンティーク小物たちと共に店頭に溢れてきましたので、たくさんモノが入りそうなこのキャビネットを優先してメンテナンスしていました。
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ヘップルホワイトと言えばチッペンデールやシェラトンと並び、18世紀に活躍したイギリスの家具デザイナーの1人ですよね。

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あくまでも個人的なイメージですが、直線と曲線の使い方が綺麗で、大きめに取った面や空間の一部に繊細なモチーフを配置することで良い緊張感(?)がある飽きのこない上品なデザインだと思います。
特に当時はまだ“薄くて大きな”板ガラスを量産できない時代でしたので、グレイズドドアなどの割付けを見ると、素材の特徴や加工条件なども知っておられた作り手目線のデザイナーさんだったんだろうなぁと想像しています。

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さておき、このキャビネットはGillow社によって、Waring社との合併前に作られたモノになります。
プレートにある通りGillow社の設立は1695年とたいへん古く、先述のヘップルホワイト氏自身が18世紀のギロー社で見習いとして働いたという話も聞いたことがありますが、それを裏付ける資料はなく噂の域を出ないようです。

ちなみに、プレートの端に『TO HIS MAJESTY KING EDWARD Ⅶ』(エドワード7世国王陛下へ)とありますので、1901年の即位または1902年の戴冠式に合わせて作られたモノと考えられます。

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そして、そのすぐ下にもうひとつ記されているのが『TOP』の文字。
もちろんGillowの職人さんが書いたものではありません。

本体は過去の修理や修復痕がないオリジナルの状態でしたが、脚が揺れていましたので下段の組み直しを行いました。
その際に気付いたのですが、中の生地は後のどこかのタイミングで貼り替えられており、元々天井部には無かった生地が背板や底板に加えて貼られたようです。
おそらく、その作業を行った職人さんが、背板の上下を識別するためピッと書かれたんだと思いますので、行き先が決まり最終のメンテナンスで再度貼り替えをする場合は目印にさせていただきます。

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と同時に作業していたステッキスタンドですが、こちらは行き先が決まりましたのでお納め前の最終メンテナンスです。
鉄製の受け皿は赤錆を取り、錆止めを塗布して黒い塗料で再塗装しました。

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で、裏面に描かれていた絵は、どの職人さんの何のメモだったのでしょうか?(笑)
 

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