昨年の初春に頂戴した画像、『阿弥陀浄土曼荼羅図』(鎌倉時代・13世紀)の全景資料。
奈良国立博物館の監督下に解体修理が行われた、修復後の写真になります。
なぜこの画像を戴いたかと言うと、この絵を所蔵されている京都・海住山寺様の令和の改修に伴い、図の一部を描いたステンドグラスを制作するためです。
先ずは当該部分の拡大図を作成して、ステンドグラスとして成立する割り付けにするため線を選んで拾いました。
実はこの絵、実物は畳2枚分ぐらいある大きなもの。(本紙 縦1770 横2052)
見れば見るほど、そして見る度に見えていなかった細密な描写が現れました。
そんなこんなで、概ねの割り付け図を描きました。
下部の日付けが2020年6月となっていますので、実際に描き始めてから1か月以上お時間を頂戴いたしました。
だって、線が見えないんだもん。。。
あ、こころの声が出てしまいました(笑)
冗談はさておき、院主さまや宮大工さんとの打ち合わせのため、出来たての絵とガラスサンプルなどを持って顔だけは神妙にお伺いいたしました。
山の上に建っていることもあり、いつ訪れても空気が澄んでいます。
打ち合わせの後、現場監督さんのご厚意で本堂の改修現場を見せていただけることに。
ドキドキしながら足場を上がると、そこは屋根の上。
修復箇所やその方法、宮大工さん達のこだわりなど、とても丁寧にご説明くださいました。
(ありがとうございました)
良いモノを見せていただいたその足で工房へ戻り、打ち合わせの内容をまとめつつ制作スタートです。
実寸にプリントアウトした完成イメージを貼って、早速ガラス選びに入りました。
時期的にも府県を跨ぐ移動がし難い状況が続いていましたので、府外の材料屋さんにもご協力いただき、ガラス選びはリモートで行いました。
写真は瓦や衣に使うガラスを選んでいるところですが、ハンドロール(手流し)のガラスは1枚ずつ色の混ざり方(模様)が異なります。
言い換えれば、全く同じガラスはありません。
ですので、作ろうと思っているモノに近いイメージのガラスに出会えるまで、「もう少し白が少なめの板無い?」など何枚も画像を送っていただきました。
(ありがとうございました)
と同時に、工房ではオリジナルのガラスを焼いていました。
雲母を入れて焼くことで、土壁のすさのようなイメージにしたいと考えました。
また、光を透過せずに反射光で見た際に、キラキラと輝きますのでそれもお愉しみいただけたらと思います。
重要な仏様のガラス選びは、写真のように紙の上に置いて光を透過しないと日焼けしたような小麦色に見えますが、宙に浮かせて光を透過すると実際は淡い色味のものに決めました。
そして、もっと重要なお顔の絵付けは、本当に悩みました。
どれぐらい悩んだかは、写真の通り思いっきり煮詰まりました。
そんな中、院主様が工房へ様子を見に来てくださいました。
へのへのもへじを消すのを忘れてお見せしてしまいましたが、決してふざけているわけではなく、全体の雰囲気をみるための大切なプロセスです!ということでここはどうかひとつ。
すると、院主様が「今、丁度展示しているから実物を観てきなさい」と。
もっと早く教えてください(笑)
ということで、人の少ない時間帯を選んで京都国立博物館へ(1月19日撮影)
現物を拝見し目に焼き付けましたが、それも限界があるので図録をゲットしてきました!
嗚呼...
(後編へ続く)