先ずは、雰囲気ある真鍮製ランタンの写真から。
5面あるガラスの内3枚がアクリル板に交換されていましたので、新たにガラスを作ることにしました。
ガラスを削ったり磨いたり、穴を開けたりする時は水で冷やしながら加工します。
摩擦熱でガラスが割れないように道具も湿式のものを使います。
ということで、前回のブログに続きましてガラスや真鍮を洗ったり磨いたり、水を使った作業ばかりしています。
なぜなら、毎日すっごく暑いから(笑)
冗談はさておきまして、この勢いで他の真鍮も磨くことにしました。
下の写真は現地で記録用に撮影したウォールミラーの写真です。
緑青が噴き、全体が黒く酸化しています。
先ずは分解して、パーツ毎に洗浄してから磨きます。
磨き作業が完了すると、もう一度丁寧に時間を掛けて水洗いします。
なぜなら、毎日すっごく暑いから!←しつこい(笑)
そんな中、鏡と鉄製の背板の間から隙間を埋めて固定するための紙がたくさん出てきました。
以前のブログでヘンリー・ホリデイの絵の版画が出てきたことを書きましたが、鏡の裏にはこういった詰め物が入っていたり、文字が書かれたりしていることが多々あります。
余談ですが、ヘンリー・ホリデイはバーン=ジョーンズと並び、ラファエル前派を代表する画家の一人です。
彼らが遺したステンドグラスは繊細な描写が美しく、今年3月に訪れたヴィクトリア&アルバート博物館でも実際に観ることができました。
その際に書いたブログにもそのステンドグラス写真が混じっていますので、もしよろしければご覧ください。
ちなみに、現在英国では彼のオリジナルのステンドグラスが市場に出ているのですが、現地価格が高額すぎて手が出ず今も遠くから眺めています。
いつもながら、話題が思いっきり逸れてしまいました。。。
話を戻して、何か描かれていないか期待を込めて広げましたが、今回はただの紙でした。
そして、それと同時にメンテナンスを行っていたミラーバックキャビネットからも。
今度は新聞紙です。
珍しいことではありません。
日付を見ると、1888年5月29日。
(ちらっと読むと、パリ近郊で起きた事件やニューヨークの株式市場など今とあまり変わらない感じでした)
背板を外す際に確認したところ、ファーストネイルでした。
ビスや釘など過去に抜かれた形跡や打ち直した痕がなかったため、後から入れられたものではないと考えられます。
いろんな視点から考えて、蓋をする日に古い新聞を入れることは可能ですが、基本的に背板は外すことがないため誰にメリットがあるのか分かりませんよね。
ここからは想像でしかありませんが、当時の職人さんが未来の我々に向けて残してくれたメッセージだったとするとドキドキしますね。
でも、個人的には鏡特有の銀引き面の酸化防止のために入れられていたのではないかと思っています。
新聞紙が入っている時は厚みがないことが多く、先述の鏡と背板の隙間を埋めるスペーサーの機能は殆どありません。
実際に新聞紙を入れなくても、構造上このキャビネットは鏡がガタつくことはありませんので、湿気(水分)が原因で黒く酸化する鏡面を長持ちさせる知恵だったのではないでしょうか。
そんなときは、決まって鏡の断面(銀引き面が直接空気に触れる部分)には炭が塗ってあり、特に曲線カットの際に割砕くことでボコボコした断面が反射によってキラキラと悪目立ちするのを抑えると同時に、湿気への対策も兼ねていたと考えています。
あ、他所では言わないでくださいね(笑)
でも、それらを含めて今まで良い状態が保たれてきたのだとすると、全てを元の位置に戻さない理由はないですよね。
今も新聞紙入ってます!