今回は、工房にある材料庫について書こうと思います。
材料庫と言っても大袈裟なものではなく、データ化の進む現代では必要性がなくなり、どこともに置き場所に困ると聞く設計図面棚です。
幅が1m、奥行きが80cmほどありますので、クレアアンティークスではたいへん重宝しています。
ちなみに、工場ラインや機械設計を行う事務所備品でした。
備品全部を戴けるとの事でしたが、「うちも置き場所に困る」ということで2台だけ(笑)
元々、重たい紙を保管するために作られているので、とても丈夫です。
そして、多種多様の材料を収納できる上に、引き出しを開けると一目瞭然で必要な材料が見つかります。
キャスターなどは、メンテナンス対象物に合わせて新旧部材を使用します。
マイナスビスやボルトは本当に種類が多く、特に規格が作られる前(19世紀半ば以前)の古いビスは、ネジ山のピッチ(間隔)やその太さもばらばらです。
(写真は、機械製ミリピッチボルトです)
これは、イギリスのアンティークフェアで撮った写真ですが、宝の山です。
丁度探しているサイズや色味のものがあると、職人一同ハイタッチです。
手前の箱から£1each、£2each、£3eachと、当時のレートで150円から450円ぐらいの一見ガラクタ達ですが、メンテナンスには欠かせないアイテムです。
この箱をゴソゴソするだけで、すぐに1~2時間が経ってしまいます。
鍵も重要なメンテナンスアイテムです。
ちなみに、このサイズの鍵は近年ほとんど出会えなくなってきました。
見つけたら、あるだけ買うことにしています。
最後の写真は、誰にも教えたくない『おんじの店』(※勝手に付けた愛称です)
自称日本好きのおじいさんがやっている街のアンティーク屋さんで、決して大きなお店ではないのですが、主に本と食器が並ぶ店の奥には掘り出し物があります。
蝶番や鍵、エスカッション(鍵穴パーツ)やラッチなど、訪れる度に買い占めても次に行くとまた仕入れてくれています。
先述のフェアなどで探しているパーツが見つからなかった時は、「じゃぁ、明日おんじの店に行こう!」と言うぐらい頼りになるお店です。(※ない時もあります...)
そんなこんなで、家具やステンドグラスなどの商品以外にも、使えそうなパーツや材料も沢山仕入れます。
日々のメンテナンスに於いて、たった一つのパーツがないだけで次に進めなかったり、必要になってから探していると時間がいくらあっても足りません。
職人としても持っている事で安心感がありますし、使う可能性がある材料は出来るだけ常に買い揃えています。
ただ、最後に言えることは、材料庫にどれだけ数を揃えていても、今触っている家具にぴったり合うパーツがないことに英国アンティークの奥深さと愛着を感じます。