アンティーク家具を買い付ける際、見ただけでは分からないことが幾つかあります。
本当に上手なリペアマンが修復した家具のビス跡や、同じ年代の古いモノから移植されて修理されたステンドグラスなどは、メンテナンス作業の際に触って初めて気付くこともあります。
そういう点でも、もっと観る目を養わねばなりません。
実際のところは、現地滞在中の限られた時間の中で、多い日には一日で数百点の家具を見ます。
先ずは直感的に良いと思うモノをピックアップして、その中で「これは!」というモノだけを買います。
その際、数日考える猶予があるものもあれば、その場で判断しなければならないものもあります。
もちろん、状態を含め引き出しの中や裏側、パーツの欠損などは確認しますが、一つ当たりに費やせる時間は決して長くはありません。
しかも、アンティーク屋に限らずイギリスのお店の多くは、4時か5時には閉まります。
特に冬場は、2時か3時に閉まるお店も。。。
という言い訳はさておきまして。
その見ただけでは分からないことの代表としては、椅子の座面の中です。
麻ベルトやスプリングコイルの状態、馬毛の有無などは外から触れば分かりますが、古いものであればあるほど過去の張替え状況や内側の木の状態は座面を剥がさないと分かりません。
クレアアンティークスでは、基本的に張替えを前提とした買付けを行いますので、中のクッション材よりはどれぐらいの頻度で張り替えられているかが一番知りたいことになります。
永い間に幾度も張り替えられているモノは大切に使われてきた証拠とも言えますが、回数を重ねる毎にそれだけ釘や鋲の穴が開きます。
要は、最初の生地を留める為に数センチ間隔で打たれた釘が、次の張替えでその間に打たれ、その次の張替えではまたその間に...と。
だんだん穴の数が増え、最後には点が繋がって線になり、木が割れてしまっているモノもあります。
でも、買う前に座面を剥がしたら、めちゃくちゃ叱られますよね(笑)
上の写真は、現在張替えを行っている椅子の座面です。
買い付け時は、白い綿布が張られていました。
ちなみに、現地のオークション出品者やディーラーさんの中では、バイヤーが生地の色や柄の好みに左右されないように敢えて白い生地を張ってストックされることもあるようです。
白い布をめくると、花柄の生地が出てきました。
その後は下地布で、残る釘跡からも4枚目の小紋柄がオリジナルの生地だったと推測されます。
もしかすると、現在アニバーサリーフェア(3月31日迄です)を絶賛開催中の店頭にある、ビクトリアンナーシングチェアも中から何か出てくるかも知れませんね☆
という宣伝でございました。